・友達と一緒に会社を設立する
・同僚と一緒に会社を設立する
・先輩や後輩と一緒に会社を設立する
会社設立の相談を受けるとき、こういう相談はよくあります。そして、資本金は半分出し合うというパターンも多いです。
しかし、出資割合によって、会社の運営に及ぼす影響はかなり異なります。安易に決めてしまうと将来のトラブルのもとになる可能性がありますので、ぜひ慎重に検討して行って下さい。
ここでは、議決権などの出資割合について解説していきます。
会社設立で考えるべき議決権って何?
会社を設立する場合、出資をして株主になる人は、設立する会社の株主としての権利を与えられます。そして、この権利のうち、株主総会に出席して、役員を選んで決めたり、会社の経営方針などを決めることができる株主の権利のことを議決権と言います。
議決権の割合に応じて発生する主な権利は、次のように変わりますので、下記の権利の内容を参考にしてみてください。
議決権の割合 | 株主としての主な権利の内容 |
1株以上 | ・書面による事前質問権がある
・株主代表訴訟提訴起権がある ・書類関係の閲覧・謄写請求権がある (各種議事録、計算書類等) |
3%以上 | ・会計帳簿などの閲覧権がある
・株主総会の招集の請求権がある ・取締役、監査役の解任の請求権がある |
1/3超 | 特別決議(一部)の単独阻止ができる |
1/2超 | ・取締役、監査役の選任決議ができる
・取締役の解任決議できる ・取締役、監査役の報酬額の決議ができる ・決算、計算書類の承認決議ができる |
2/3以上 | ・監査役の解任決議ができる
・定款の変更決議ができる ・合併、分割、事業譲渡等の決議ができる ・会社の解散決議ができる |
会社として何か意思決定するときは、基本的には多数決で決まりますが、この多数決は、議決権の数が多いかどうかで決まります。
一般的には、議決権の数は、出資割合で変わりますので、出資割合は、議決権の割合ということになります。
株主が、株主総会で会社の運営について意思決定(決議)するときは、その議決権の過半数の賛成が必要です。これを普通決議という言い方をします。また、会社の重要事項について意思決定(決議)するときは、議決権の3分の2の賛成が必要になり、これは特別決議といって、会社に重大な影響を及ぼす内容なので、普通決議より厳しくなっています。
会社設立で考えるべき議決権の過半数とは?
過半数とは、全体の数の半分よりも多い数のことを言います。
誰かと一緒に会社を設立するといった場合に、資本金を半分ずつ出し合ったという話しをよく聞きますが、
この場合、創業者2名で50%ずつ株を持つということになりますが、この場合の50%というのは議決権の過半数を持っていると言えるのでしょうか?
よく50%持っていれば大丈夫だと思っている人がいますが、議決権の過半数とは、全体の数の半分よりも多い数である必要がありますので、50%ではダメで51%以上持っていないと過半数を持っているとは言えません。つまり、創業者2名が50%ずつ持っていても、どちらも過半数を持っていないことになるため、どちらも法律的な決定ができないということになります。お互いの意見が一致しないと何も決められないという状況になるということです。
友達と一緒に会社設立する場合の注意点
共同経営というのは、揉めるケースがとても多いため、仲間割れしてしまうことも想定しておく必要があります。もしあなたが起業を考えて会社の設立を提案した当事者なら、会社の運営について決定権を握れるように、代表取締役になって、51%以上の株を持っておく必要があります。
議決権の解説でもありましたが、会社の重要事項を決める特別決議では、議決権の3分の2の賛成が必要になりますので、可能であれば、3分の2超を持つようにしたいところです。3分の2超とは、67%以上ということになります。
どんなに仲が良くても、どんなに信頼していている相手であっても、将来揉めるというリスクをよく理解した上で、手続きを進めて下さい。特にお金が絡むようになると、以前のような友達という関係性が壊れてしまうケースはとても多いです。友達と一緒に会社を設立するという場合は、51%と67%というパーセントはよく覚えておいて下さい。
会社設立の出資と借入金(融資)との違い
起業、会社設立には資金が必要です。
資金を第3者から調達するという意味では、出資をしてもらうか、融資(お金を借りること)でという話になります。出資をしてもらう場合は、株主としての権利を持ってもらうことになるため、議決権や経営権について考えていかなければいけません。
また、出資の場合は、融資のように、お金を返済して行く必要のない資金ではありますが、利益が出ていれば、配当を出すかどうかや、株価が高くなった場合は、株の売却や買取りなどの問題が発生していきます。
これに対して、融資の場合は、銀行等から借りたお金は、利息をつけて返済さえしていけば、出資のよう問題は発生しません。
最初から上場を目指すという場合を除いては、少なくとも設立当初は第3者からの出資ではなく、なるべく創業融資などを利用していく方が会社の運営はスムーズに行きます。
もし起業を応援してくれる人が現れて、資金援助をしてくれるという話しになった場合、安易に出資を求めるのではなく、メリットやデメリットを考え、融資なども検討しながら慎重に検討していきましょう。
まとめ:会社を設立する経営者は、最低51%以上の株を持つ
経営者として、株を何株持てばいいのか?
結論としては、最低51%、可能であれば、3分の2の67%以上持つ必要があるということになります。
出資割合は、51%以上にする必要があります。
そうでなければ、経営権の問題が発生し、せっかくの起業の思いを果たすことが出来なくなる可能性があるということを覚えておいて下さい。
個人的には、創業者は、全株100%を保有して、経営上の全責任を背負って、スタートすることをお勧めしたいです。それは、創業者は、経営上の全責任を背負って頑張るからこそ、誰よりも成長できるからです。
また、資本金をいくらにするかによって、出資割合も変わってくると思いますので、
こちらの「会社設立時の資本金はいくらがいい?決め方。」の記事も参考にしてください。