会社設立にはさまざまな手続きがあるため、会社設立で失敗しないためには、手続きの流れや会社設立前に決めるべきことなどを、しっかりと把握して準備することが大切です。
ここでは、株式会社の会社設立を前提としたスケジュールや手続きの流れ、必要書類や誰に頼むかなど、失敗しないための手続きの流れを解説していきます。
恵比寿で会社設立する場合の届出や管轄の役所についても解説していますので、ぜひ参考にしてください。
会社設立のスケジュール、登記までの手続きの流れ
会社設立の準備から会社が出来上がるまでに、どれくらいの日数がかかるのでしょうか?
会社設立の準備から会社設立の登記申請(会社設立日)までは、最短で1週間弱です。
全ての準備が整っていて、司法書士などの専門家に依頼すればもっと短くできるケースもありますし、自分でやる場合は、やり直し等も起こることがあるので、もっとかかってしまうケースもあります。
また、発起人や取締役の人数が多い場合は、準備する書類が増えたり、関係者の書類への押印までに時間がかかることが多いため、余裕を持った会社設立にするためには、2〜3週間前くらいから準備を始められると良いでしょう。
下記の会社設立の登記申請(会社設立日)までの流れを参考にしてみてください。
会社設立の必要書類
会社設立で必要な書類は、定款認証の時に公証役場に提出する書類と、会社設立登記の時に法務局に提出する書類に別れます。
定款や登記申請書類に記載する発起人や取締役に就任する予定の人の住所と名前については、印鑑証明書の表記と同じ漢字や表記にする必要がありますので、個人の印鑑証明書は早めに用意しておくことをおすすめします。
【定款認証に必要な書類(公証役場)】
会社を設立する際には、会社を運営していくための決まり事などを記載した「定款」という書類を作成する必要があります。
この定款は、公証役場で定款として認証したものでなければ、会社設立の登記手続きができないことになっています。
1.定款
全部で3部必要です。公証役場に1部、法務局の登記用に1部、会社用に1部、用意する必要があります。
2.発起人の印鑑証明書(個人)
印鑑証明書の発行日から3ヶ月以内のものが必要です。また、印鑑証明書は、発起人になる予定の人は全員分用意する必要があります。
3.収入印紙
定款の認証には、4万円の収入印紙が必要です。司法書士や行政書士などが電子署名した電子定款であれば、収入印紙は不要になります。
【設立登記申請に必要な書類(法務局)】
全ての書類の準備ができたら、本店所在地の管轄の法務局へ設立登記の書類を提出します。
1.登記申請書
どんな会社の設立登記をするか記載する申請書類です。
会社の設立、登録免許税の金額や申請者などを記載します。
2.登記すべき事項
会社設立で必要な事項を記載した書面か、データを用意します。
3.定款
公証役場で公証人の認証を受けた定款を用意します。
4.取締役、監査役、代表取締役の就任承諾書
取締役として就任を承諾したということを証明するための書類です。
5.監査役の就任承諾書
監査役として就任を承諾したということを証明するための書類です。
6.代表取締役の就任承諾書
代表取締役として就任を承諾したということを証明するための書類です。
7.発起人の決定書
会社の本店所在地が、発起人の全員で決めたものであることを証明するための書類です。
8.資本金の払い込み証明書
資本金の払い込みが終わっていることを証明するための書類です。
この証明書には、資本金の払い込みが行われた証拠として、銀行口座の通帳のコピー(払い込みが印字されているページなど)を付ける必要があります。
9.印鑑届出書
会社が設立したら会社の実印を法務局に登録する必要があります。会社の実印としての印鑑を登録するための書類です。
10.取締役全員の印鑑証明書(個人)
印鑑証明書の発行日から3ヶ月以内のものが必要です。また、印鑑証明書は、取締役になる予定の人は全員分用意する必要があります。
11.収入印紙
会社の設立登記の申請には、登録免許税を払う必要があります。
株式会社は、資本金×0.7%と15万円のどちらか高い額を納める必要がありますので、最低額は15万円ということになります。この登録免許税は、収入印紙を買って納付します。
会社設立にかかる費用
株式会社を設立するために掛かる費用はどれくらいでしょうか?
登録免許税などのいわゆる実費は、最低でも約20万円かかります。これに司法書士などに書類作成や登記などの手続き報酬が加わることになります。なるべく費用は抑えたいところですが、会社の実印用の印鑑などを作成することなども考えると、30万円くらいは予算を取っていた方が安心です。
【公証役場での定款認証にかかる費用】
・認証手数料・・・資本金等の額が100万円未満の場合は、3万円
資本金等の額が100万円以上300万円未満の場合は、4万円
資本金等の額が300万円以上の場合は、5万円
・謄本手数料・・・1枚250円。定款の平均は8枚くらいなので、8枚だと2,000円になります。
・収入印紙・・・4万円。電子定款のときは必要無し。
【法務局の設立登記でかかる費用】
・登録免許税・・・資本金×0.7%と15万円のどちらか高い額
【専門家に依頼した場合にかかる費用】
・司法書士など専門家の報酬相場・・・6万円から10万円くらい
【会社の実印用の印鑑を作成するための費用】
・代表印・・・相場1〜2万円前後 ※印鑑の材質によって価格は大きく変わります。
印鑑は、代表印、銀行印、角印の3本を作成しておくことをおすすめします。銀行の口座開設をするときに銀行印は必要になりますし、請求書を発行する際には、請求書に押す角印も必要になります。3本セットで注文するとかなり割安になるので、経済的で余計な手間も省けます。
会社設立にかかる費用については、「会社設立にかかる費用の相場を徹底解説」の記事で詳しく解説しています。
【プチ情報:三宿の印鑑】
恵比寿で会社設立に携わっていると、独特の書体の代表印を目にすることが多くあります。世田谷区の三宿にある有名な印鑑屋さんで作ったものなのですが、不思議な伝説がある印鑑屋さんで、経営者仲間から噂を聞いて、どうしてもこの印鑑屋さんで会社の実印を作りたいという方が後を絶たないようです。法人印(角印、代表印セット)は5万円〜で完全予約制。今は一日数組の予約しか取っていないそうなので、印鑑を依頼するのもなかなかハードルが高そうです。
会社設立は誰に頼むべきか?
会社設立をするために自分で必要な手続きを調べて勉強していると、時間もかかりそうで、自分ではできそうもないと感じる人も多いと思います。こんな時は、誰に頼めばいいのでしょうか?
会社設立は、最終的に法務局への登記申請をすることで設立が完了しますが、この登記手続きを行うことが出来るのは、司法書士という資格を持った専門家だけです。
行政書士や税理士が、会社設立の広告をたくさん出しているので、勘違いしやすいところですが、行政書士や税理士は、書類作成の代行しかできませんので、注意が必要です。多くの場合、司法書士が間接的に関わっていることが多いのが現状です。
専門家に依頼する時は、広告に惑わされずに、自分の状況を整理した上で、どの専門家に依頼すべきかを検討しましょう。
会社の設立登記だけがスムーズに終わればいいのであれば、司法書士に依頼することをおすすめしますが、会社設立後のビジネスのことを踏まえて、相談しながら会社設立をしたいのであれば、様々なビジネスに関わっている税理士に依頼することをおすすめします。
安さだけで専門家を選ぶのも失敗の原因になりますので、注意が必要です。
会社設立を誰に頼むべきか?については、「会社設立は司法書士、税理士、行政書士に頼むべきか?freeeは?」も参考にしてみてください。
会社設立前に決めること。
会社を設立する前に決めておくべきことはたくさんあります。
下記の10項目は、会社設立準備の最初のステップであり、一番キモになる部分です。会社名は、じっくり考えて決めるケースは多いと思いますが、会社名以外にも本店所在地をどこにするかなどは、会社のブランディングを考えた時には重要なポイントになります。
特に資本金や発起人(出資割合)などは、将来のトラブルや余計な手間やコストの原因になります。会社設立後でも、法務局への変更の手続きを踏めば、これらの項目の変更は可能ですが、最初にじっくりと時間をかけて検討することで、これらのリスクを排除できますので、ぜひ慎重に進めてください。
資本金の決め方については、「会社設立時の資本金はいくらにすべき?決め方や平均」、資本金の出資割合については、「会社設立の株式は何株用意すればいい?出資割合は?」で詳しく解説していますので、参考にしてください。
会社設立準備に必要なことについては、「会社設立前に決めるべきこと、設立準備について徹底解説!」の記事で詳しく解説しています。
恵比寿で会社設立をする時の法務局と公証役場はどこ?
会社設立までの手続きを進めるにあたって関わることになる公的な機関は、公証役場と法務局です。
渋谷区の恵比寿を本店所在地にした場合の法務局は、東京法務局渋谷出張所が管轄になりますが、公証人役場については、東京都内であれば、どこの公証役場でもいいことになっています。
恵比寿から近い公証役場は、渋谷公証役場です。恵比寿からだと五反田の駅前にある五反田公証役場も駅から近くて便利です。恵比寿駅からだと渋谷駅は一駅で、五反田駅は二駅ですので、渋谷駅にある渋谷公証役場に行くことを考えがちですが、駅から歩いて行くことを考えると、五反田公証役場もお勧めです。
恵比寿で会社設立した後に必要な届出(会社設立届、青色申告承認申請など)
渋谷区の恵比寿を本店所在地にして会社設立をした場合は、税務署の管轄は、「渋谷税務署」になります。また、東京都の管轄は、「渋谷都税事務所」です。
会社を設立した後は、税務署と都税事務所に「設立届出」を提出しなければいけませんが、特に税務署に提出する「青色申告の承認申請書」は、設立日から3ヶ月以内に提出しなければならず、この期限を過ぎてしまうと、青色申告の様々な特例が使えなくなってしまうので、注意が必要です。
【渋谷税務署に提出すべき書類】
・法人設立届出書・・・設立の日以後2ヶ月以内に提出
・定款の写し
・青色申告の承認申請書・・・設立の日以後3ヶ月を経過した日と設立第1期の事業年度終了の日とのいずれか早い日の前日までに提出
・給与支払事務所等の開設届出書・・・従業員の雇用から1ヶ月以内に提出
・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書・・・提出期限は決まっていないが、給与支払事務所等の開設届出書と一緒に提出するのが良い。
【渋谷都税事務所に提出すべき書類】
・法人設立・設置届出書・・・事業を開始した日から15日以内の提出
・定款の写し
・登記事項証明書の写し
まとめ:会社設立は、早めの準備が大切
いかがでしたか?会社設立の全体の流れが把握できたでしょうか?
会社設立は、司法書士などの専門家に頼むとあっという間に出来上がりますが、全てを自分でやろうとすると思った以上に大変です。
時間がある方であれば、自分で進めてみるのもいいと思いますが、早めの準備が大切です。
しかし、会社の立ち上げは、スピードが命です。
1日でも早く売り上げをあげ、会社を成長させるためには、時間を有効活用しなければいけません。
会社設立の手続きを専門家に依頼する一番のメリットは、時間を買えるということです。
専門家と関わることで様々なビジネス上のノウハウや人脈も手に入れることができるはずですので、自分でやろうと考えている人も、1度は専門家に相談してみることをおすすめします。
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